華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

……だけど、よく考えて?

金と銀が採れるってことは、それだけ国に財力があるってことでしょう?

それだけで他国から狙われるって、普通なら分かることじゃない。

財力があれば軍力は増強できるし、奇襲への対策だってしっかりやっているはず。


案の定、戦いを挑んだ我が国は、隣国の軍力に敵うはずもなく。

わずか一日、という前代未聞のスピードで私の国は隣国アーロンに落とされ、アーロンの領地となった。






……その日、私は城の図書室にいた。

やけに城の中の人が少ないなぁ、なんて思っていたけど、まさかその日にアーロンへ戦いを挑みに行っているなんて思いもよらなくて。


静かに椅子に掛けて読書をしていると、うるさいくらいに何人もの人間がドタバタと走る音が聞こえて、バン!と乱暴に扉を開けたと思ったら、あっという間に何人もの騎士が私を取り囲んだ。


そしてひとりの騎士が私に向かって叫ぶ。


『お前がレイモア国の第一王女、ソフィアだな?この国は我が国アーロンの領地となった。殺されたくなければ共に来てもらおうか!』


鼓膜が破れそうなくらいの大きな声で言われ、その拍子に読んでいた本を落としてしまったが、それを拾うことも許されず、そのまま私はアーロン国の騎士達に捕らわれてしまう。

そのときにようやく、この国になにが起こったのが理解した。


瞬間思ったのは、『あんのバカオヤジ!!』ってことと、『読みかけの本、いいところだったのに!!』だったわけだけど。



……それから半年。

私はアーロンの城の地下牢で暮らしている。



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