華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
王子はついに声を上げて笑い始めた。

馬鹿にされたように感じて、苛立ちは募る。


「……なにがそんなに面白いの」

「好きでもない人……ねえ。一応そういう夢は持っていたんだな」

「な、なによ、持ってちゃ悪い!?」


国の王女で生まれた以上、好きな人と結婚するなんてありえない。

王族の中で生まれた女子はほぼ、国のために他国の王子と結婚するか、権力のある貴族の家に嫁ぐか、どちらかだ。

けれど、そのくらいの淡い夢を持っていたっていいじゃない!

叶わないからこそ、夢を見る。
もしかしたらの奇跡を信じたって、罰はあたらないはずだ。

王子は一通り笑った後、急に真顔になって私の瞳と視線を交わらせた。

ドキリと胸が跳ねる。


「悪かったな、好きな男ではなくて。しかし、じきにその考えは変わるだろう」

「どういうこと……?」

「言葉の通りだ」


堂々とした物言い。

ますます眉を顰めて、王子を睨むように見る。


言葉の通りって、それはつまり私が王子をいずれ好きになるということ?

……まさか。
ありえない。

そんなことあるはずない。

今まで蔑んだ目で私を見ていた男を、好きになれるわけないでしょう。

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