華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

やがて、城の隣にある大聖堂へと着く。

大きな扉がゆっくりと開くと、厳かで静粛な空間が広がっていた。



身廊には深紅の絨毯が敷かれ、その左右には、人々が祈りを捧げるために腰掛ける横長のベンチが、綺麗に並べられている。

天井はとても高く、色彩豊かな絵が描かれていた。

窓にはステンドグラスがはめ込まれ、外の光が様々な色で室内に射しこむ。

祭壇の手前まである左右合わせて六本の柱頭は、どれも細かな彫刻がなされていた。



その光景に、ごくりと息を飲む。

こんなに神々しい場所を見たのは初めてだったから。


自分の国でも、ここまで大きな聖堂はなかった。

せいぜい天井を高くし、祭壇を少し豪華に飾っているくらい。


けれど、この大聖堂は違う。

どこを見ても、神経質なほどにしっかりと、なにかしらの装飾なりが施されている。



国を守るとされる神を祀る聖堂は、どの国でも必ず置かれている。
そしてその聖堂の大きさと豪華さによって、それだけ国が発展しているという証明でもある。


アーロン国は、自分が思っている以上に強大な国だった。

そんな国に無謀にも戦いを挑んだ私の国は、どれだけ愚劣だったかを、改めて思い知らされた。

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