華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
戸惑いと悲しみを抱えたまま、祭壇の前に着く。

司祭は私たちに背を向けて、祭壇の女神の像に向かって高らかに両手を上げると、なにやら聞いたことのない言葉で祈りを捧げた。

そして、少しの沈黙を得た後、ゆっくりと私たちに身体を向けた。


「……さてアレックス王子。汝いかなるときも妻、ソフィアを愛し通すと神に誓うか?」

「―――はい」

横にいる殿下は、堂々と前を見据えて、そう宣言した。

……この嘘つき!!
いかなるときも愛す、なんて、微塵にも思っていない癖に!


「……ではソフィア王女。汝いかなる時も夫、アレックスを愛し通すと誓うか?」

「ち、誓えるわけがないでしょ!?」


ついまた声を荒げて、司祭にそう言い放ってしまう。

目を丸くして驚く司祭だったが、隣のの王子は声を押し殺して笑っていた。


「くくっ……申し訳ない司祭殿。どうやら恥ずかしがっているようだ。本意ではない、気になさるな」

「ちょ……」

王子はそう言ったあと神父に"さっさと進めろ"、といったように目を動かし、それに気付いた司祭はは咳ばらいをひとつすると、後ろの女神にその言葉を伝える祈りを捧げた。


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