華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「……これで二人の誓いは、神の前に立てられた。晴れてそなた達は夫婦となられた。……おめでとう」
司祭は、にこりと優しい笑みを浮かべると、脇の扉からいなくなった。
「え……?」
残された私たち。
あっけない"結婚式"。
指輪の交換もない。
誓いのキスもない。………なくてありがたかったけど。
まあ、なんともさっぱりとしたものなのだろうか。
これは結婚式、というより朝の礼拝って言った方がしっくりくるんじゃないか、と思うくらいだ。
「さあ、私たちも城へ戻ろうか」
戸惑う私をよそに、王子はそう清々しい顔で言うと私の手を引き、大聖堂を後にし城内へと戻った。
「……これで終わりなの?」
城のエントランスで、つい王子に漏らす。
私の問いに、王子はなんの戸惑いもなくすらすらと答える。
「ああ、つつがなく結婚式は執り行われた。これで私達は夫婦だ」