華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
ええ~?
こんな簡単に結婚ってできるものなの?

もっと色々とあるもんじゃないの?


「……腑に落ちない」

「なにが?」

「結婚したって実感が全くないのだけど」


急な結婚だったのだろうし、準備しようにも時間がないのは聞かなくても分かる。

けど、開始五分もかからずに終わるような結婚式って、どこ探したってあるわけない。

まあ、"私を処刑から避けるため"の結婚のようだから、ここまで簡略化されたのかもしれないけれど……。


王子は怪訝な顔をした私を見て笑っていたが、やがてなにかに気付いたのか、口を開いた。


「……ああ、君はなにも知らないのか。あれは仮の結婚式だ。妻といっても正妃になるわけじゃない。これは側妃になるための儀式なんだ」


「……は?側妃!?」



目を丸くして、王子を見る。


側妃?

ちょ、ちょっとなにそれ。


「側妃って、つまり」

「そういえば言ってなかったな。私にはソフィアの他にもうひとり側妃がいる」

「な……」

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