華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
王子が部屋を出ると、入り口にいた騎士が部屋の扉を閉め、部屋には私とナディの二人だけとなった。

しん、とした部屋の中。

なんとも気まずい雰囲気が流れる。

この空気をなんとかしないと、と思い、私から口を開いた。

「ナディ、これからよろしくね。分からないことが多いから、色々と教えてくれると嬉しいわ」

「はあ……」

私の言葉に、ナディはやる気のない返事をする。

顔に思いっきり『嫌』だと出ているのがわかる。
こんなに分かりやすい態度をする人は、なかなかいない。


「まあ、私の侍女をするのは嫌なのはわかるけど。大丈夫よ、必要最低限のことしか頼まないから。あと教えてくれと言ったけど、私の疑問に答えてくれるだけでいいの。わからなかったらわからないでいい。簡単でしょう?」


かといって、ナディの態度を咎めるつもりはなかった。

嫌なのは仕方ない。
誰だってやりたくないことはあるだろうから。

でも、王子から私の侍女と言われたからには、断れないのだろうし。

それならば、少しでも関わらず仕事の負担が軽くなるようにしてやるのが、私の役目でもあるだろう。

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