華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
せっかく緩まった気持ちが、一瞬でまた強張ってしまう。
まさかこんな早くに、もうひとりの側妃と顔を合わせることになるとは思わなかった。
「とはいえ、ご昼食とそれぞれの紹介を兼ねたお食事会ですので、盛大なものではございません。あまり気張らなくてもよろしいかと思いますが」
「って言われてもね……。エリス様って、どこの家のご令嬢だったの?」
「エリス様ですか?この国では伝統ある、マディス公爵家のご令嬢でいらっしゃいましたが。マディス公爵様は今の国王様の従弟にあたられるお方でございます」
「へえ、……そうなの」
公爵家の令嬢か。
しかも国王と公爵が従弟ということは、王子も昔からエリスと繋がりがあるのだろう。
もしかしたら、幼い頃から気心知れた仲だったのかもしれない。
――ふと疑問が生まれる。
なぜ王子は、エリスを正妃にせずに側妃に留めているのだろう。
ある理由で側妃にしていると王子は言っていたけれど、身分も申し分なく親同士も親戚関係であり、本人同士少なからず人となりを知っていて、なんの問題もないではないか。
それなのに、どうして……。