華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
祈りを捧げた後、そのパンを頬張る。
口の中の水分が全部取られてしまうくらいのパサパサなパンを、いつ汲まれたか分からない水差しに入っている水で、胃に流し込んだ。
朝はパン一つ。
昼は、ドロドロに溶けたパスタのようなものと、野菜が入ったスープ。
夜は、なんの肉か分からないくらいに固く、味のない肉に、パンひとつ。
味もへったくれもないものだけど、一応生きられるだけの栄養はあるらしい。
そして食事の後は、特になにをすることもなく。
むしろ余計な動きを見せると、騎士がすぐにどなるから下手な行動もできず、ただベッドの上でぼおっとするだけだ。
夜寝る前に毎日、身体を拭く濡れたタオルが渡され、三日に一度、牢の外へ出されて水浴びを許される。
それが、私が唯一身体を動かせるときだ。
けれど牢の外に出るときは、水浴びの場所まで頭を布で隠されてしまうから、外を伺い知ることはできない。
引っ張られるようにして水浴びの場所に連れて行かれ、そこでようやく布を取り外されるけれど、やはりそこも高い塀が四方を囲む場所でなにも見えず、目の前には井戸とちょっとした桶があるだけだ。
地面は石畳で足の裏がそんなに汚れることはないけれど、外で水浴びって男じゃないんだから。
しかも誰かが必ず私を見張っているわけで、公開水浴びってどんだけ羞恥プレイよ!
最初は大事な部分が見えないように隠しながらやってたけど。
……慣れって怖いわ。
今は見られても気にならなくなったのよ。
――そんな毎日を、私はこのアーロンで過ごしている。