華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
3.未知との遭遇
食堂の中には、既に王子ともうひとりの女性……、たぶん側妃であるエリスであろう人が着席していた。
横長テーブルの一番奥に王子、その左側に女性が座り、テーブルの上には、ところ狭しと料理が並べられている。
焼きたてなのだろう、真ん中に置かれた丸ごとの鳥肉からは、湯気が立ち上っていた。
そして瑞々しいサラダ、綺麗に重ねられた山盛りのフルーツ、宝石のようなケーキ。
私が牢の中で、味も素っ気もない食べ物を食していたとき、彼らはこんな豪華な食事を毎日食べていたのかと思うと、沸々と怒りが湧いてきた。
思った以上に食べ物の恨みは深いようだ。
「さあ、ソフィア。こちらへ」
王子が立ち上がり、にこやかな顔を浮かべながら座る席を手で示す。
指示された通りその席まで向かうと、後ろにいた侍従らしき男が椅子を引いた。
座る前に、向かいに座るエリスと横で立つ王子に視線を向けたあと、深々と頭を下げる。
「はじめまして、ソフィアと申します。本日よりこのアーロン国の一員となりました。これからよろしくお願い致します」
敢えて名前だけ、これまで付けられていたフルネームは言わなかった。
"ソフィア・クリスフォース・レイモア"という人間はもういない。
そういった思いからである。
横長テーブルの一番奥に王子、その左側に女性が座り、テーブルの上には、ところ狭しと料理が並べられている。
焼きたてなのだろう、真ん中に置かれた丸ごとの鳥肉からは、湯気が立ち上っていた。
そして瑞々しいサラダ、綺麗に重ねられた山盛りのフルーツ、宝石のようなケーキ。
私が牢の中で、味も素っ気もない食べ物を食していたとき、彼らはこんな豪華な食事を毎日食べていたのかと思うと、沸々と怒りが湧いてきた。
思った以上に食べ物の恨みは深いようだ。
「さあ、ソフィア。こちらへ」
王子が立ち上がり、にこやかな顔を浮かべながら座る席を手で示す。
指示された通りその席まで向かうと、後ろにいた侍従らしき男が椅子を引いた。
座る前に、向かいに座るエリスと横で立つ王子に視線を向けたあと、深々と頭を下げる。
「はじめまして、ソフィアと申します。本日よりこのアーロン国の一員となりました。これからよろしくお願い致します」
敢えて名前だけ、これまで付けられていたフルネームは言わなかった。
"ソフィア・クリスフォース・レイモア"という人間はもういない。
そういった思いからである。