華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「!!」
……な、なにこれ。
驚くぐらい酸っぱくて不味い!!
あまりの酸っぱさに一瞬眉間に皺が寄る。
そこら辺に生えている野ぶどうを潰してアルコール入れただけの、味もコクもへったくれもないワイン。
しかも後味も悪いし、口に搾りカスのようなものが残り、余計に不快感が増す。
まさか、ふたりも同じのを飲んでいるの?
チラリと視線だけを王子とエリスに向けたが、ふたりはとても満足したような表情で、ワインを嗜んでいた。
……と、王子と目が合う。
「どうだ、ソフィア。このワインはこの国でも最高級を誇るワインだ。芳醇な香りと味が身体に染み渡るだろう?」
「え?あ、……はい。とても……、美味しいです」
「……どうした?口に合わなかったか?」
「い、いえ!そういうわけでは!!ワインを飲むのも久しぶりなもので」
不味いなんて言えるわけがなく、誤魔化してこの場を乗り切る。
王子は『そうか』と一言呟き、少し笑った。