華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「どうした、ソフィア」
「いえ、もう私は食べ終わりましたので、先に部屋に戻ろうかと」
「まだ歓談の時間はたっぷりとあるぞ?もう少しゆっくりしていったらいいじゃないか」
「結構です。おふたりの仲を邪魔するわけには参りませんので。……では」
有無も言わさず、ふたりに向かって軽く頭を下げると、そそくさとその場を後にする。
「おい、ちょっと待て!!」
そう言ってガタリと椅子が動く音が背で聞こえたけれど、振り向くことなく自分で食堂の扉を開き、廊下へと出た。
よし、と。これでいい。
別に王子と話すこともないし、エリスも見た感じ悪い人ではなさそうだけど、だからといって仲良くなる気もない。
ましてやあんなに楽しげに話をしているんだもの、王子は理由をつけていたけれど、結局は……ってことでしょう?
ただでさえ疲れているのに、これ以上気を遣うのはゴメンだもの。
廊下ではナディが待機していて、予想以上に早く食堂から出てきたことに驚いていた。
「ず、随分と早いのでは……?」
「え?だって私の食事は終わったもの。さ、部屋へ帰りましょう、私もうヘトヘト。少し横になりたいわ」
「え、あ、あの!ソフィア様っ!」
困惑するナディをよそに、私は足早に部屋へと戻る。
そして、部屋に着くなりそのまま、ベッドの上に倒れ込んだ。