華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
中には小さいが浴槽もあり、きっと私が入れるようにとナディが用意してくれたのだろう、湯が張られていた。
せっかくだから入ろうと思い、その場でドレスを脱ぐ。
湯は大分冷めていたが、井戸水で洗っていたのからすれば、何倍も温かい。
勢いよく頭から湯を被って、身を清める。
……気持ちいい。
今日の出来事がすべて洗い流されていくみたい。
そしてぬるい湯に浸かりながら、一息ついた。
本当に色々とあった日だった。
本来なら今頃は、とっくに死後の世界に旅立っているはずなのに、現実は王子の側妃となって、この城の中で生きている。
自分の弱さが、自身を生かしてしまったのかもしれないけれど。
私はまだ死ぬ運命ではなかったということなのだろうか。
「人生って、本当にわからないわ」
そう呟いたと同時に、小さくため息が漏れた。
本当、わからない。
これから先、どうなるのかも。
ずっと側妃のままで、私はここで生きていくのだろうか?
それとも……?