華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
考えてもどうしようもないことを、湯の中でずっと考え込んでしまって、気がついた頃には、指はふやけて、ぬるま湯にもかかわらず少しのぼせてしまっていた。
慌てて湯から上がる。
浴場の前に置かれていた布で、頭を拭きながら部屋へと戻ると、鏡台の上に置かれていたナイトドレスに気づく。
きっとナディが用意してくれたのだろう。
最低限でいいと言いはしたが、ナディはしっかりと私の身の回りの世話をしてくれていて、素直に嬉しくなった。
肌触りのいい綺麗なブルーのナイトドレス。
コルセットをつけずに着るため、よけい心地が良い。
カーテンを閉めようとふと窓の方を向くと、月が見える。
私は窓を開けて、夜の空を眺めた。
夜風が湯浴み上がりの身体を、優しく通り過ぎていく。
少しだけ肌寒いと感じるが、久しぶりの夜風の気持ちよさには敵わない。
思えば星空を見るのも久しぶり。
こんなに星って輝やくものなのかと、驚くほどだった。
月もくっきり三日月。
ほうほう、とフクロウの鳴く声が聞こえて、より夜の幻想的な光景に磨きがかかる。
青空も綺麗だと思ったけど、夜空も負けないくらいに綺麗。
目に映る全てが新鮮に思えて、ずっとその光景を頭を拭きながら眺めていた。
――そのとき。