華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
王子は終始、和やかに話す。
優し気な笑顔に穏やかな口調。
牢で会った王子とはまるで別人のようだ。
トクリ、と不覚にもときめいてしまった。
……いけないいけない。
よく考えたら、同世代の若くて美麗な男とふたりきりで話すことなんて、今までなかったのよね。
お陰で耐性がないから、その笑顔に惑わされてしまいそうだった。
気をつけなければ。
……しかし。
それより、なぜこんな遅くに私のところへ来たのかしら?
まさか『大丈夫か?』って言葉だけを言いに来たわけじゃないわよね。
そうなら、わざわざ部屋に入ってこないだろうし。
じゃあ、どうして?
夜くらいは放っておいて欲しいのだけれど。
できればずっと放っておいて欲しいのが本音なのだが。
「……あの」
「ん?」
「こんなこと聞くのは失礼かもしれませんが、いったいなにしにここに来たのですか?」