華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
目を逸らしたらいけない。
弱さを見せてしまえば終わりだと思った。
「私はお前の夫だ。そしてこの国の王子だ。私に逆らうとどうなるかわかっているのか?」
逃げないように私の手首には王子の手がきつく握られていた。
その力が上から押されているのもあり、余計に痛む。
「やめて……!」
自然と涙が滲む。
嫌だ、嫌だ。
心すら通じていない人間に抱かれるのだけは嫌。
弱さを見せてはいけないのに、目の端から、つつ、と滲んだ涙が流れた。
「……なんて、な」
――と、突然きつく握られた手首の力が緩み、目の前にあった大きな圧力が、すっと消える。
「泣かせてしまって、すまない」
そして、王子は小さな声で呟いた。