華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
しかし急激に昂った感情は、すぐには収まらない。
王子が離れてもなお、嗚咽混じりで涙を零す。
……怖かった。
こんな恐怖、捕まったときですら感じなかったのに。
死を待つときですら、こんなに怖いと思ったことなかったのに。
私を安心させるためだったのだろうか、王子は軽く泣き止まない私の頭を優しく撫でる。
頭に王子の手が触れた瞬間、身体がビクリと反応し思わず目を強く瞑ったが、王子はなにも語らず、ただ私の頭を撫でるだけだった。
やがて王子は立ち上がると、その場を離れる。
そのとき、ようやく強張っていた身体から力が抜けていった。
倒された身体を起こし、涙に濡れた顔を王子の背に向ける。
心臓はなお、早鐘を打ち続けていた。
王子は扉の前まで行くと、こちらを見た。
「では、ソフィアが私を好きになったとき、そのときに改めて抱くことにしよう」
「……え?」
唐突な言葉に困惑する。
頭が真っ白になってしまった私に、さらに王子は言葉を続けた。
「ソフィアが愛する者に抱かれたいというならば、私がその愛する者になろう。覚悟しておけ、――私のソフィア」