華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
食事を摂り終え、部屋へと戻る途中の廊下でエリスと出会う。
付きの人間が私はナディひとりに対し、エリスは三人の侍女を従えていた。
「あらソフィア様、ごきげんよう」
エリスはにこりと私に向かって微笑んだ。
私も口角を上げ、礼を返す。
「もうお食事終わりましたの?私がもう少し早くに行けばご一緒出来ましたのに、残念ですわ」
「早く摂り終えるのが癖でして。どうそ、エリス様はお気にせずごゆっくりとお食事下さいませ」
「ああ、そうソフィア様。近々お茶会を開こうかと思いますの。よろしいかしら?」
「え?え、ええ。構いませんわ。その際はぜひ」
お茶会の誘いに、一瞬たじろぐ。
しかし、断る理由もないため、そう答えるしかなかった。
エリスは『では、良き日に』と言って、軽く会釈をするとその場を通り過ぎた。
お茶会……か。
貴族であれば、お茶会などよくある行事のひとつ。
特に新入りの人間がいれば、必ずといって言いほど行われるもの。
エリスが私を誘うことは、なにも変なことではない。
けれど、なぜだろう。
妙な胸騒ぎを覚えてしまうのは。