華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
……なんてこと。
どうやら私の考えは、逆方向にいってしまったようだ。
『さようですか……』と言ったきり言葉に詰まっていると、王子は拳を口元に寄せて笑い始める。
「ああ、そういうことか。私を不機嫌にさせようと考えたんだろうが、残念だったな。それはもう通用しないぞ」
「もう?」
その一言が気になって聞き返した。
しかし、王子は答えることなく話を続ける。
「しかし、さすがレイモア国の王女だっただけある。度胸が違うな」
「どういうことでしょう?」
「レイモア国の内情は昔から知っていた。君が国王の愛人達のいざこざに巻き込まれていたと聞いている。まだ幼かったソフィアに、平気で嫌がらせをする性格の悪い愛人たちに対して、怯むことなく向かっていったそうだね」
「それがなにか?」
「やはり、君はとても魅力的な女だ。私の心を一瞬で惹きつける、その強さがソフィアにはある」
「は……?」
この目の前の人は、突然なにを言い出すのだろう。
つい訝しげに王子を見てしまった。
王子の表情は、やけに真剣だった。
加えて私を見る瞳に、熱を帯びているように感じる。
ドキリと胸が大きく跳ねた。
どうしてそんな目で私を見るの。
私は、あなたを楽しませるためだけの女でしょう?
その瞳は、まるで……。
「また、明日来る。もっと話をしよう」
ふっと王子は目を下に逸らし、私にそう告げると席を立った。
「え?いやあの」
ハッと我に返り、王子の言葉に戸惑いを見せるが、王子は言葉を続ける。
「明日だソフィア。お休み、いい夢を」
そして、王子は部屋を出ていった。