華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
よく考えたら側妃という立場だもの、ないはずはないのよ。
いつから側妃の座にいたのか分からないが、昔から気心知っている仲であれば、そういう関係になっていたっておかしくはないもの。
最初から真実を言えばいいのに、どうして王子は隠すの?
エリスは王子に思いを寄せている。
だから私にああいう形で牽制してきた。
王子はエリスの気持ちに気づいている?
知らないふりをして、私にあんな甘い言葉ばかりを言っているの?
……ああもう、腹立つ。
王子の行動、エリスの言動。
それもさることながら、なによりも自身のこの気持ちに対してだ。
どうしてこんなに動揺しているの。
私は王子のことなんてなんとも思っていないはずでしょう?
ああそうですか、やっぱりね。って、納得するはずでしょう。
……なのに、なのになぜ。
こんなにも心乱れてぐちゃぐちゃなの。
グッと拳を握り、歯を食いしばった。
それは涙を流さないための抵抗だった。
嫌だ、ぜったい泣くものか。
――しばらくの間、私はその状態で堪えていた。
そして、ようやく落ち着きを取り戻したころ、私はある決心を固めた。