華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「そうか……エリスが」


手を取ることがないと分かったのか、王子はその手をそのまま自分の顎に付け、考えるような仕草を取った。


しばし、無言の時が流れる。

その間も私の心臓は早い動きをみせたまま、落ち着くことはない。
足もまだ小刻みに震え、依然身体に上手く力を入れられない。

怖いという感情。
しかしそれは王子に対してのものではなかった。

言葉では表せない。

簡単に言えば、"自分が怖い"。



……どうして?
どうしてこんな……。


それは自分でも信じがたいものだった。

王子と唇を重ねたとき。
そのとき、なんとも言えない気持ちよさを感じてしまった。


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