私がキスしたいのはあなたです。
時が過ぎて、気が付いたら世間はバレンタインデーに盛り上がっていた。
私も何とか作ったクッキーをかばんに忍ばせ、いつもと違う気持ちで学校へ向かう。
結局、告白するという気持ちは固まらなかった。
ソワソワした気持ちでいたら、いつの間にか授業も部活も終わってしまい、後は帰るだけになってしまった。
急いで小川を探すと、もう着替え終わりかばんを持とうとしているところだった。
みんなの方を様子見すると、みんな自分がプレゼントをあげる相手のことだけを見ていて私のことなど目に入っていないようだった。夏がいないのが気になったが………
でも、今だ。今しかない。
告白する気持ちは固まっていないけれど、せっかくだからクッキーだけは渡そう。
「小川!!!」
気が付いたら歩き始めていた小川を急いで呼び止める。
「ん?」
「えっと………あの……はい!!!」
「クッキー?」
「うん……」
小川の顔を見ることができず、小川が今どういう表情をしているのかが分からなかった。
「作ってくれてありがとう。」
「うん………」
「じゃあ、また明日。」
「また明日。」
私がそういうと小川は振り返ってまた歩き出した。
これでよかったのか………?後悔しない………?
いや、後悔する!!!