私がキスしたいのはあなたです。



人が多い通路の中で、トイレを探していると、すれ違ったたくさんの人の中から1人の人に気がいった。


私はその場で立ち尽くした。


頭が真っ白になって心拍があり得ないほどに上がる。全身が震えだす。全身が後ろを振り向けと私に命令する。


急いで後ろを向くと、私の視界に映ったのは初恋のあの人だった。


向こうは私に気が付いていないようだったけど、私は気が付いた。


だって、ずっと恋い焦がれた存在だから。


同時に私は気が付いた。


まだ小川のことが好きだ。


自覚した途端に涙が溢れだした。


まだあきらめられていなかったんだ。


私は、止まっていた時間がまた始まった気がした。


小川………小川………小川………!!


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