私がキスしたいのはあなたです。
急いで追いかけようとしたけれど、そのころにはもう小川の姿は人込みで見えなくなっていた。
まだ全身の震えは収まらない。
「あ、そうだったのか。」
私はふと言葉を発した。
今やっと、今朝の鎮西学園の女子に対抗心を燃やした気持ちが理解できた。
羨ましかったんだ。
小川といられることが。
小川と泳げることが。
小川と水泳の話をできることが。
小川の笑顔を見られることが。
ただの嫉妬だったんだ。
理由が分かってほっとしたと同時に、顔がすごく熱くなった。
私、こんなに小川が好きだったんだ。
たぶん今までこの気持ちを気が付かないふりをしていた。
でもずっと考えていたんだ。
ずっと好きだったんだ。
あぁ、好きだ。