私がキスしたいのはあなたです。
「ねえ、小川!今度の大会は何で出場する?」
「1バタだけかな。」
「あー、じゃあこの間と同じか。」
「うん、そうなるね。」
「また小川の泳ぎ、楽しみにしてる。」
そういって、夏は友達のところに走って行った。
「小川って、夏と仲良かったっけ?」
ふと疑問に思った。人見知りを発動させ、今まで私以外の女子と喋っているところを見たことがなかったからだ。
「仲が良いっていうか………お互い水泳やってて大会で会うことが多いだけだよ。」
「ふぅん………そうなんだ。」
この時私は、何故かチクリと胸が痛んだ。
今思えば、この時にはもう、いやあの泳ぎを見た時にはもう小川のことが好きだった。