私がキスしたいのはあなたです。
気持ちを自覚したはいいものの、結局その夏は練習についていけず、部活後に小川と喋る機会もなく、シーズンが終わった。
小川は、地方大会まで進出。後1歩のところで全国大会まで進めなかった。
地方大会の後、小川が会場の裏で1人泣いているのをたまたま見た。
しかし、声はかけなかった。
こんなよこしまな気持ちがある人間が、あの時の小川を慰める権利はない。
それと同時に、小川の彼女になりたいと強く思った。
これ以上小川に1人で泣かせたくない。
小川の今までに見たことがなかったほどの悲しそうな背中は今でもずっと記憶に強く残っている。
公然と小川を慰められるようになりたい。小川の悲しみの心を少しでも取り除いてあげたい。
強くそう思った。