私がキスしたいのはあなたです。



「鈴夏は?誰に渡すの?」


「へ?えっと………」


急に自分に話を振られてドキリとする。


「まだ何も考えてないかな。」


我ながら無難な答えだったと思う。


「夏も鈴夏も枯れてるなー。」


そうからかわれ、苦笑いをするしかなかった。


小川の彼女になりたい気持ちは自覚したけど、具体的な行動の移し方が分からない中で、バレンタインは大きな救い手になりそうだとふと思った。


告白か………


あの日から、小川への気持ちは募るばかりで、夏と小川が喋っているところを見ると、毎日心がズキズキ痛んだ。


そろそろ心を決める時だ。


女子たちのバレンタイン話はまだまだ続いていたけど、頭の中は小川への告白のことでいっぱいだった。


正直言って、勝算は全くない。


でも、バレンタインという大きなチャンスがあるなら、きちんと告白したいと思った。



でも、私の心にあるのは、小川にも私のことを好きになってもらいたいというよりは、支えてあげたいという気持ちだった。


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