凪ぐ湖面のように
〈岬……〉と優しく湖陽さんが囁く。
〈大丈夫だから、何が起ころうと守るから〉
力強い声に涙腺が緩む。それがバレるのが嫌で、「うん、ありがとう」と短く返事をして、「おやすみなさい」と通話を切る。
膝にスマホを置いた途端、ポロッと涙が零れ落ちる。
悲しいのではない。嬉しかったからだ。
一人ででも大丈夫だと思っていたのに……やはり人間とは弱い生き物だ。
ピンと張っていた糸が、彼の言葉でアッサリ切れてしまった。
掌で涙を拭い、これ以上甘やかされたら本当に一人で立てなくなってしまう、と奥歯を噛み締める。そして、切れて緩んだ糸をもう一度結び直すと、私は仕事に戻った。
何はともあれ、生きる糧を得なければ!
*
大繁盛のカフェ・レイクから足が遠去かり、二週間が過ぎた。
避けているのではない。単に仕事が詰まっていたのと、あの写真のことがあり、少し様子を見ようと湖陽さんが提案したからだ。
その事に異論はない。湖陽さんとは定休日に会っているし、電話やメールも毎日くる。ただ、この時期の湖が見られないのは残念だった。
〈大丈夫だから、何が起ころうと守るから〉
力強い声に涙腺が緩む。それがバレるのが嫌で、「うん、ありがとう」と短く返事をして、「おやすみなさい」と通話を切る。
膝にスマホを置いた途端、ポロッと涙が零れ落ちる。
悲しいのではない。嬉しかったからだ。
一人ででも大丈夫だと思っていたのに……やはり人間とは弱い生き物だ。
ピンと張っていた糸が、彼の言葉でアッサリ切れてしまった。
掌で涙を拭い、これ以上甘やかされたら本当に一人で立てなくなってしまう、と奥歯を噛み締める。そして、切れて緩んだ糸をもう一度結び直すと、私は仕事に戻った。
何はともあれ、生きる糧を得なければ!
*
大繁盛のカフェ・レイクから足が遠去かり、二週間が過ぎた。
避けているのではない。単に仕事が詰まっていたのと、あの写真のことがあり、少し様子を見ようと湖陽さんが提案したからだ。
その事に異論はない。湖陽さんとは定休日に会っているし、電話やメールも毎日くる。ただ、この時期の湖が見られないのは残念だった。