凪ぐ湖面のように
ずっと心に残っていたシコリが消えた。
不意に涙が溢れる。それを誤魔化すように、冷めたコーヒーを啜り、テーブルに置かれた封筒を見る。宛先も名前も書かれていない。
何だろう……?
恐る恐る手を掛け、中身を取り出す。
三つ折りの手紙を開くと……見覚えのある右上がりの文字。
ドグンと心臓が音を立てる。
海からの手紙だ。
震える手が手紙を握り締める。
読みたいのに……読みたくない。
涙で霞んだ文字を、ただ見つめ続けていると、ガシャーンと派手な音が店内に響いた。
驚いたと同時に涙が一筋零れ落ちる。
「あっ、失礼しましたぁ」
あのウエイトレスが元気な声で謝る。
「先輩、また、やっちゃいましたぁ」
「本当、何、やってるの、危ないから早く片付けて!」
もう一人のウエイトレスが、素早く箒と塵取りを持ってくる。
ブツブツと文句を言われながらも、テヘヘと笑うウエイトレスは、とても可愛いが、案外、太々しく逞しいのかもしれない。
あんな風に生きられたら悩まないのかも……。
いや、そう生きようとしないのは私自身だ。
フーッと肩の力が抜け、乾いた瞳が文字を捉える。
『舜へ』で始まる手紙。それは海が舜に宛てたものだった。
不意に涙が溢れる。それを誤魔化すように、冷めたコーヒーを啜り、テーブルに置かれた封筒を見る。宛先も名前も書かれていない。
何だろう……?
恐る恐る手を掛け、中身を取り出す。
三つ折りの手紙を開くと……見覚えのある右上がりの文字。
ドグンと心臓が音を立てる。
海からの手紙だ。
震える手が手紙を握り締める。
読みたいのに……読みたくない。
涙で霞んだ文字を、ただ見つめ続けていると、ガシャーンと派手な音が店内に響いた。
驚いたと同時に涙が一筋零れ落ちる。
「あっ、失礼しましたぁ」
あのウエイトレスが元気な声で謝る。
「先輩、また、やっちゃいましたぁ」
「本当、何、やってるの、危ないから早く片付けて!」
もう一人のウエイトレスが、素早く箒と塵取りを持ってくる。
ブツブツと文句を言われながらも、テヘヘと笑うウエイトレスは、とても可愛いが、案外、太々しく逞しいのかもしれない。
あんな風に生きられたら悩まないのかも……。
いや、そう生きようとしないのは私自身だ。
フーッと肩の力が抜け、乾いた瞳が文字を捉える。
『舜へ』で始まる手紙。それは海が舜に宛てたものだった。