凪ぐ湖面のように
そういえば、世に男と女は多けれど、相思相愛のカップルは思う程に多くない、と教えてくれたのはお姉さんだったかもしれない。

だからちょっとだけ思う。湖陽さんから論外視されているにもかかわらず、見合いを仕掛けた彼女は、ある意味チャレンジャーだと。諦めず果敢に挑む。まぁ、相手のことを無視する行動はいただけないが、当たって砕けろ精神は若干感心するものがある。

――とすると、サバンナで喩えて言えば、今回、湖陽さんの役どころは、猛獣に狙われた美しき白馬で、私は白馬を助けるナイトというところだろうか。

猛者にナイトが勝てるのか? ちょっと悩ましいところだが、湖陽さんのためにぜひ勝利したいものだ、と思っていると、「リードは僕がします」と言われてしまった。どうやらこのお方、ブルブル震えるだけの白馬ではなさそうだ。

「岬さんは微笑みを浮かべて僕の言葉に頷いていて下さい。よろしくお願いします」

策士な白馬に任せておけば、自然と勝者になれるらしい。
だから、彼に全一任したのだが……まぁ、今思えば、ある意味成功だった?
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