凪ぐ湖面のように
「さあ、参りましょう。あちらはもうお待ちよ」
何事もなかったかのように、小町さんがニッコリ笑う。
やっぱりそうみたいだ。
しかし、何かこう憎めない人だ。振り回されても文句が出ないはずだと皆の気持が分かったような気になる。
そんな大女優に先導され、私たちはフロントロビーから、見合い相手が待つ十二階のレストランに向かう。
「中華にしてもらったの。あそこからの眺めがこのホテルで一番だから」
「晩餐の古城ですね。岬さんもご存知でしょう、その名前」
嘘っ! 過去、一度だけ行ったことがある。
「はい! 物凄く美味しかったです」
「そうなんだ、行ったことがあるんだ、で、誰と?」
「父と母とですが。北京本店で……って、湖陽さん何なんですか? その眼」
「今のは完璧ジェラシーね」
クスクス笑う小町さんとバツの悪い顔をする湖陽さん。二人を交互に見ながら、これも作戦のうちかと解釈する。
「そう、本店にいらしたのね。本店だったら本格的な宮廷料理も味わえるけど、それを召し上がったの?」
私の脳内データーでは、小町さんは相当なグルメと記憶する。
何事もなかったかのように、小町さんがニッコリ笑う。
やっぱりそうみたいだ。
しかし、何かこう憎めない人だ。振り回されても文句が出ないはずだと皆の気持が分かったような気になる。
そんな大女優に先導され、私たちはフロントロビーから、見合い相手が待つ十二階のレストランに向かう。
「中華にしてもらったの。あそこからの眺めがこのホテルで一番だから」
「晩餐の古城ですね。岬さんもご存知でしょう、その名前」
嘘っ! 過去、一度だけ行ったことがある。
「はい! 物凄く美味しかったです」
「そうなんだ、行ったことがあるんだ、で、誰と?」
「父と母とですが。北京本店で……って、湖陽さん何なんですか? その眼」
「今のは完璧ジェラシーね」
クスクス笑う小町さんとバツの悪い顔をする湖陽さん。二人を交互に見ながら、これも作戦のうちかと解釈する。
「そう、本店にいらしたのね。本店だったら本格的な宮廷料理も味わえるけど、それを召し上がったの?」
私の脳内データーでは、小町さんは相当なグルメと記憶する。