凪ぐ湖面のように
「ああんもう、そんな話をしていたら食べたくなっちゃった。そうだ、来週、一緒に行かない?」
どこへ、とは怖くて聞けない。きっと本店だろう。
「行きませんよ」
私の代わりに答えてくれたのは湖陽さんだった。
「貴方に訊いていないわ。私は岬さんと……」
「僕の恋人です」
「横暴! 我儘! 最低!」
ムッとする小町さんが子供のように駄々を捏ねる。
それにしても、恋人って……ごっこだけど、ああもストレートに言われると……勘違いしそうだ。照れる。
パタパタと手で顔を仰いでいると、「暑い?」とその根元が覗き込んでくる。この天然め!
「小町さん、来週は無理ですが、機会があったら、ぜひ宮廷料理ご一緒させて下さい」
だから、ちょっと反抗的になりそう答えた。
これは後日、驚愕的な現実となった。食事だけのためにチャーター機で移動という初体験をしたのだ。この体験は作品の中に大いに生かされたのだが、大いに反省した。いい加減な返事は今後すまいと。
だが、実体験は必要だ、と思ったのも事実だ。
どこへ、とは怖くて聞けない。きっと本店だろう。
「行きませんよ」
私の代わりに答えてくれたのは湖陽さんだった。
「貴方に訊いていないわ。私は岬さんと……」
「僕の恋人です」
「横暴! 我儘! 最低!」
ムッとする小町さんが子供のように駄々を捏ねる。
それにしても、恋人って……ごっこだけど、ああもストレートに言われると……勘違いしそうだ。照れる。
パタパタと手で顔を仰いでいると、「暑い?」とその根元が覗き込んでくる。この天然め!
「小町さん、来週は無理ですが、機会があったら、ぜひ宮廷料理ご一緒させて下さい」
だから、ちょっと反抗的になりそう答えた。
これは後日、驚愕的な現実となった。食事だけのためにチャーター機で移動という初体験をしたのだ。この体験は作品の中に大いに生かされたのだが、大いに反省した。いい加減な返事は今後すまいと。
だが、実体験は必要だ、と思ったのも事実だ。