凪ぐ湖面のように
声なき声を上げ、両手で顔を隠して下を向く。
湖陽さんはクスッと笑って「お絞りを取ってくるね」と立ち上がった。
とんだ失態だ。どうしてこうも恥ずかしいところばかり彼に見られるのだろう。前世で彼から恨みでも買ったのだろうかと真剣に考える。
「はい、どうぞ」
ホカホカと温かな湯気を上げるお絞りを、下を向いたまま「ありがとうございます」と言って受け取る。
この店のお絞りは布のお絞りで、業者が持ってきたものではなく、スタッフが一つ一つ巻いたものだ。ハーブの香り付きで、席に座り、それを手渡されるだけで毎度癒されていた。
それを顔に置くと、「ふわぁぁぁ」とお風呂に入った時のような安堵の声が漏れ出た。
あっ、と慌ててお絞りを取り、左右を見るが湖陽さんの姿はなかった。ホッとして、再びお絞りを顔に置く。
「どう、さっぱりした?」
しばらくして、コーヒーの香りと共に湖陽さんが現れる。
「ありがとうございます。あの、これ、こんなにしちゃったので、洗ってお返しします」
可哀想なお絞りに視線を落とし、恐縮していると、湖陽さんが笑いながら首を横に振った。
湖陽さんはクスッと笑って「お絞りを取ってくるね」と立ち上がった。
とんだ失態だ。どうしてこうも恥ずかしいところばかり彼に見られるのだろう。前世で彼から恨みでも買ったのだろうかと真剣に考える。
「はい、どうぞ」
ホカホカと温かな湯気を上げるお絞りを、下を向いたまま「ありがとうございます」と言って受け取る。
この店のお絞りは布のお絞りで、業者が持ってきたものではなく、スタッフが一つ一つ巻いたものだ。ハーブの香り付きで、席に座り、それを手渡されるだけで毎度癒されていた。
それを顔に置くと、「ふわぁぁぁ」とお風呂に入った時のような安堵の声が漏れ出た。
あっ、と慌ててお絞りを取り、左右を見るが湖陽さんの姿はなかった。ホッとして、再びお絞りを顔に置く。
「どう、さっぱりした?」
しばらくして、コーヒーの香りと共に湖陽さんが現れる。
「ありがとうございます。あの、これ、こんなにしちゃったので、洗ってお返しします」
可哀想なお絞りに視線を落とし、恐縮していると、湖陽さんが笑いながら首を横に振った。