凪ぐ湖面のように
「結婚式は近々? もしそうなら、この番組の続編として、『ご利益がキタぁぁぁ!』なんてタイトルで結婚式の中継をしてもいいですか?」

――頭が痛くなってきた。

「結婚はありま」せん、と否定をしようとしたら、「もう少し恋愛期間を楽しんでからですね」と私の言葉を遮り、湖陽さんが明るく言う。

「そうですよね、二人とも若そうだし」

佐藤カメラマンの軽口に友枝女史は目を剥く。

「そんなのダメ! 結婚はノリよ! タイミングを逃したら一生できないわよ!」

その脅すような言い方は何?

そうだそうだ、と水谷プロデューサーも友枝女史に加勢する。
――これはもしかしたら、番組を作りたいがため?

「そんなものでしょうか?」

湖陽さんが真面目に訊ねる。

おいおい、乗せられるんじゃないと小さく睨むが、効き目なし。真剣な顔で悩み始めた。

「当然よ。私と水谷が結婚したのもノリだったもの」

「そうだった」と佐藤カメラマンがまた大笑いする。この人って笑い上戸なの?
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