ひとはだの効能
ひとはだの効能


 酔いと衝動に支配され、自分を失った中で

 薄っすらと覚えているのは



 揺れるカーテン

 響く波音

 軋むベッド


 月明かりで薄ら明るい部屋

 湿った吐息と

 俺の上でしなる身体



 そして

 最後に一粒、こぼれた涙



 胸に仕舞った苦しさは全部

 嬌声に乗せて解放して



 あなたの痛みの原因を

 俺は知らないけれど


 
 せめてこの夜の記憶が、あなたの救いになればいい



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