ひとはだの効能

 持ち込んだ荷物を一通り片付け、紅茶や乾燥させたハーブを調合して、オリジナルのハーブティーを作っているときだった。

 コンコンと表のガラス戸を叩く音がして、顔を上げる。タニザキの担当が来たのだ。

キッチンを出て入り口に向かう。透明なドアの向こうに立つその人の顔を見て、息を呑んだ。

 一呼吸置いたあと、ドアのロックを外し、その人を迎え入れる。

「……お久しぶりです、香澄さん」

「……久しぶり」

 少しだけ気まずそうな顔を見せると、香澄さんは苦々しい笑みを浮かべた。

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