亡国の王女と覇王の寵愛
心配そうなミレンの青い目をまっすぐに見つめる。
(ミレンは知っているんだわ……)
あれはまだ、祖国であるグスリール王国で起こったかもしれない事件ついて調べていたときのことだ。知的欲求は抑えが効かないものだと、そのせいでもう王城から出ることはできないとミレンは言っていた。その原因が、五年前の政変の真実を知ってしまったからだと。
「ミレン」
「はい、レスティア様」
――真実とは、とても残酷なもの。
――躊躇いがあるうちは、決して手を出してはいけないもの。
――ですが、それを越えても知りたいと願った時は、どうか打ち明けて下さい。
彼女がその時、言ってくれた言葉が甦る。
「……頼ってばかりで本当にごめんなさい。これを聞いてしまったら、あなたの命に関わってしまうかもしれない。でも私が必ず、守るから。だから教えて欲しいの」
「五年前の、政変のことですね」
レスティアを気遣って狼狽えていたミレンの表情が、ふと鋭くなる。それは歴史研究家としての彼女の姿だった。
ディアロスとのやりとり、そしてその言葉をジグリットに伝えてしまったこと。すべてを彼女に打ち明けた。ジグリットのために、できることを見つけたい。だから五年前の真実を知りたいのだと。
「本当は自分で調べなければならないとわかっているの。でも……」
ディアロスの件を話した時は固い表情をしていたミレンだったが、レスティアがそう言うと柔らかく微笑んだ。
「人から聞くというのも、真実を知る手段のひとつだと思います。今のレスティア様にならば、伝えなければならないと私も思います」
悩みながらも前に進もうと必死に学んだ。その日々があったからこそ、こうして真実を知ることができるのだと言ってくれた。
レスティアの身体を気遣い、椅子にゆっくりと座らせると、向かい側に座ったミレンはゆっくりと話しはじめる。
「ディアロスは以前、レスティア様を娶りたいとグスリール国王に強く迫ったようです」
「え……」
衝撃的な言葉に、レスティアは息を飲む。
(……ディア兄様が、私を? どうして?)
(ミレンは知っているんだわ……)
あれはまだ、祖国であるグスリール王国で起こったかもしれない事件ついて調べていたときのことだ。知的欲求は抑えが効かないものだと、そのせいでもう王城から出ることはできないとミレンは言っていた。その原因が、五年前の政変の真実を知ってしまったからだと。
「ミレン」
「はい、レスティア様」
――真実とは、とても残酷なもの。
――躊躇いがあるうちは、決して手を出してはいけないもの。
――ですが、それを越えても知りたいと願った時は、どうか打ち明けて下さい。
彼女がその時、言ってくれた言葉が甦る。
「……頼ってばかりで本当にごめんなさい。これを聞いてしまったら、あなたの命に関わってしまうかもしれない。でも私が必ず、守るから。だから教えて欲しいの」
「五年前の、政変のことですね」
レスティアを気遣って狼狽えていたミレンの表情が、ふと鋭くなる。それは歴史研究家としての彼女の姿だった。
ディアロスとのやりとり、そしてその言葉をジグリットに伝えてしまったこと。すべてを彼女に打ち明けた。ジグリットのために、できることを見つけたい。だから五年前の真実を知りたいのだと。
「本当は自分で調べなければならないとわかっているの。でも……」
ディアロスの件を話した時は固い表情をしていたミレンだったが、レスティアがそう言うと柔らかく微笑んだ。
「人から聞くというのも、真実を知る手段のひとつだと思います。今のレスティア様にならば、伝えなければならないと私も思います」
悩みながらも前に進もうと必死に学んだ。その日々があったからこそ、こうして真実を知ることができるのだと言ってくれた。
レスティアの身体を気遣い、椅子にゆっくりと座らせると、向かい側に座ったミレンはゆっくりと話しはじめる。
「ディアロスは以前、レスティア様を娶りたいとグスリール国王に強く迫ったようです」
「え……」
衝撃的な言葉に、レスティアは息を飲む。
(……ディア兄様が、私を? どうして?)