BAD BOYS
ブー、ブー と短く震えるスマホの音で目が覚めた。
ボンヤリとした頭で、手探りにスマホを耳に当てる。
「もしもし、」
『ミーーーーヤーー!!!!』
「うるさい」
朝から声が大きんだよ。コイツ。
脳がはっきりと覚醒し、もう寝られそうにもないので、とりあえず伸びをして起き上がる。
『今日は学校来いっていったよね?!』
「体調不良でやすみます。」
シンプルな黒で統一された部屋。
カーテンまで黒で、朝から少し気分が下がる。
そして、よりどす黒く見える扉。
「はあ」
扉の外から感じる気配を誤魔化すように、ため息をつく。
スマホの向こうから、うそつけ!なにため息ついてんの?!と五月蝿い声がする。
そして、俺よりも格段に低い声でギャーギャーと文句を言い続ける。
『もう1週間きてねーぞ!!大ちゃんきれてっぞ?』
「うわ、それはめんどくさいなァ」
大ちゃんとは、俺のクラスの担任。
怒るとちょーーー怖い。
あいつ確実に昔ヤンキーとかそーゆーやつだよ。
じゃないと、あの威厳はでないよ。
『だから早く来いよ。』
「ハイハイ、分かったよリョウ。」
そういうと、電話の奥でへへっと照れくさそうに笑った後、うわ!大ちゃんだ!と声が聞こえて、電話の向こうは無音になった。
ああ、切れたんだ。
そう気づいたのは、だるい身体の重さのせいで少し経った後だった。
学校行かなきゃなあ。
めんどくせェ。
特にーーー
重々しい扉の向こう。
感じる、一つの小さい気配。
それを開いた先には、
「おはよう」
案の定、そいつがいる。
顔に完璧な笑みを携えて、にっこりと悪魔は笑っていた。
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