最後の1球
寂しく、そよ風に髪をなびかせて。
言った。
「・・・せい、ざき・・?」
「あッ、ごめんねッ!」
はじめてみた。
生崎の、そんな顔。
ここで、俺はなんで気づかなかったんだろう。
生崎が、とても、悲しいことにあっていたことを。
「生崎、さっきの・・」
「あッ、今度はみんなに挨拶しなくちゃねッ!?」
明るく振舞う生崎。
俺は、そんな振舞う生崎を、壊したかった。
なんで、そんなふうに振舞うんだろう。
なにが、苦しいんだろう。
・・・俺に、何を伝えたかったんだろう。
「・・・生崎」
「なに?」
明るく、振舞う。
「いや、なんでも」
結局、聞けずじまいだった。