最後の1球
生崎は右と左に分かれる道に、右のほうに指をさす。
「俺も右なんだけど」
俺は驚きながら言う。
「えッ、嘘?」
「ほんとだよ。俺、ココ曲がったらすぐ」
「へぇ~」
生崎が笑いながら言った。
「大沢くん、また明日ね♪」
「おう」
大沢は、少し寂しい顔をして家に帰った。
俺たちも、少し歩いた。
「じゃ、ばいばい」
「おう・・・じゃぁな」
「あ!明日も、朝一緒に行かない?朝練あるんでしょ?」
「あるけど・・いいんじゃねぇの?マネージャーは」
「いいの!一日でも早く、慣れたいんだから!」
「はいはい」
生崎は、努力家。
一生懸命。
何か・・俺に言いたがってる。