最後の1球
それでも好き
生崎がマネージャーの仕事にも慣れてきた頃。
カッキーン!
「行ったよー!レフトー!」
俺はバッターが打ったボールを目で追う。
「空野!」
え・・?
さっきまで俺の上を通ってたボールが、いつの間にか俺の目の前にあった。
ドゴッ!
「きゃぁ!ちょっと、達也ぁ!?」
俺は、顔面にボールが当たった。
なんだろう。
すごく、あったかい。
と、思った瞬間、ヒヤッと冷たいものが俺に当たった。
「・・ん・・」
俺は、重くなったまぶたを開ける。
「あッ・・起きたぁ?」
「・・・あ・・・こ・・・?」
俺は、びっくりすると生崎のことを名前で呼ぶ癖がついてしまった。
「アハハ。だいじょーぶ?ボール顔面にぶつけたけど」
「ああ・・まぁな」
笑いながら生崎は俺を起こす。
「つか、起こすなよ、まだ寝たかったのに」
「ごめん、ごめん。でも、勝手に起きたのは達也だよ?」
冷やかしながら、あたしは悪くないと言い張る生崎。