最後の1球
ま、どうでもいいんだけど。
「ってぇ・・何かやった?」
俺のおでこがなぜか痛い。
ボールがあたったのは、おでこの下なのに。
「あ、ごめん。そこ、あたしが物落としちゃって・・」
生崎が申し訳なさそうに言った。
「マジ?何落としたの」
「えぇと・・ボール・・」
マジかよ。
めっちゃいてぇんだけど。
「生崎、後で殺すぞ」
「やめてよ!そんなこわいこと!」
生崎は必死でやめてという。
冗談だっつの。
「バーカ、冗談だよ」
俺は生崎のおでこにデコピンをする。
「った・・・」
女の生崎はよほど痛かったのか、おでこをしばらく抑えていた。
「痛かった?」
「ものすごく・・」
「ハハ。わりぃ」
俺は笑って誤魔化す。