最後の1球
すると、結衣奈が近くにあった麦茶の入ったコップを俺に投げつけてきた。
もちろん、俺はあたった腕が痛い。
「っつ・・!」
「いい加減目ぇ覚ませ!あんたそれでも甲子園目指してんの!?それで男なの!?何がしたいのよ・・・!」
「・・・・達也・・・・・!」
結衣奈に、名前を呼ばれた。
「・・結衣奈、呼んだ?」
「ハア!?呼んでないわよ!」
じゃぁ・・今のは・・・?
あの声・・もしかしたら・・
「生崎・・・!」
「・・やっと動き出したか・・ってえぇ!?」
俺は、部屋の窓から飛び降りた。
「ちょっとぉ!ここ・・2階よ、バカあ――――――!!!!!!」
「サンキュ、結衣奈!」
「ハア!?」
俺は走った。
「恋、叶うといいね・・たっちゃん・・・・」
結衣奈は、ボソっとつぶやいた。
確かに、生崎の声がしたんだ。
したんだ。