最後の1球
「亜恋―――――!!!」
俺は叫ぶ。
この際、近所迷惑でもかまわない。
俺の、人生最大のことだから。
生崎を好きになったことは、この先ないことだから。
俺の青春は、これしかないから。
・・・・・生崎の前で、打ちたいんだ。
決めたいんだ。
ホームラン。
生崎の前で。
もういいんだ。
フラれても。
生崎に、この気持ち伝えたいんだ。
俺は、黒髪がなびいている女を見つける。
生崎だ。
「亜恋ー!」
俺が呼ぶと、生崎は肩をビクっとさせる。
「・・・た・・・つや・・・・・・?」
俺はびっくりした。
生崎が、泣いてたから。
・・・・・なんで、泣いてんだ?
そう思いながら、生崎に近づく。