最後の1球
そして、放課後。
俺と生崎は、監督のところに行った。
「おぉッ、サンキュな、空野」
「いいえ、監督」
「おっと・・?」
監督が、生崎の顔を見て頭をしかめる。
「・・・池上さん・・?」
生崎が監督の名前を言う。
「監督と生崎は知り合い?」
「知り合いも何も・・叔父さんだよ」
叔父・・・?
「亜恋ちゃん、ここだったのかい?」
「はい。叔父さんも、ここだったんですか。あたし、マネージャーになるんです。よろしくお願いします」
生崎は、すごかった。
知り合いだからって、ここでは関係ないというそぶりで、監督と話していた。
「なんだぁ、叔父さんだったなんて・・ちょっとびっくり」
「そうなんだ?監督はすげえよ。なんでも正しいし、俺の憧れだよ」
そう、俺の憧れは監督。
監督はとにかく、正しいんだ。
そういうと、生崎は、予想できないことを言った。
「・・・・・・・・正しい人なんて、誰も居ないんだよ」