空に響く奏鳴曲-ソナタ-
「そうかな…?しぃは普通に弾いてるだけだよ?」
「普通に弾いてそんな音が出せるなんてすごいよ!詩月の才能だね!」
奏多はいつも私のピアノを褒めてくれた。
才能なんてない、ただのピアノの音なのに。
「オレも好きだよ、しぃ。」
演奏を終えたハルがキラキラした笑顔で言った。
「しぃのピアノも好きだけどオレはピアノよりしぃがもっと好きだよ。」
「しぃもハル好きだよ!奏多も好き!」
この頃は好きだなんて簡単に言えたもんだなぁ。
「僕たち、大人になっても3人でずっとピアノ弾いていようね。」
奏多が言った。
そう、奏多が言ったんじゃん。
ずっとって。