空に響く奏鳴曲-ソナタ-
「ハル…。私はただもう一度ハルのピアノが聴きたくて…」



ハルに携帯を返す。



ー俺はしぃが好きだけど、それ以上言うといくら相手がしぃでも怒るよ。ー



ハルの表情は冷たかった。



「ご、ごめん…。」



私が謝るとハルはまた笑顔に戻って首を横に振った。



ー頑張ってね、しぃ。ー



「ありがと。帰ろっか。」



もう一度歩き始める。



夕暮れ時。



オレンジ色に染まった空の下、私たちは家路についた。
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