約束の代償
第1章 私と家族

モモちゃん

5歳の誕生日に
両親から買ってもらった
ピンクのクマのぬいぐるみ。

おもちゃ売り場で一目惚れした私は
そのピンクのクマのぬいぐるみを
抱きしめて離さなかったんだ。
と、母親からよく聞かされた想い出の話。

ピンクのクマのぬいぐるみには
『モモちゃん』と名前をつけて
片時も離さずにいた私は

モモちゃんとの出逢いの記憶も
薄れる程、歳を重ね
あと数ヶ月で成人を迎える。



「おはよう、モモちゃん
今日も1日何事もなく無事に過ごせますようにじゃぁ、会社に行ってくるね!」




毎日の日課のモモちゃんへの挨拶。
幼い時から毎日こうやって
モモちゃんに話しかけて過ごしてきた。

毎日モモちゃんが笑いかけてくれる。
うん、今日も頑張れる!


そんな気になれるのは
昔から、モモちゃんに話しかけると
私の悩みが解消されるような
気がしたからだった。



小学校の時、
友達と喧嘩してなかなか
仲直りすることが出来なかった時も
モモちゃんはいつも話を聞いてくれた。


中学の時、
大好きな先輩と両想いになれたのも
モモちゃんが悩みを聞いてくれたからだ。


高校の受験の時も、
私のレベルでは難しいと言われた学校に
進学することが出来たのも
モモちゃんが願いを叶えてくれたからだ。


そして、今こうして
社会人として毎日過ごせるのも
条件の良い就職先を決められたのも
モモちゃんのおかげだと思っている。



私にとって、モモちゃんは
いつも一緒にいてくれる親友

決して裏切らない家族だ。

< 1 / 37 >

この作品をシェア

pagetop