歌う少女、笑う少年。
「成宮さんこそ、自由にしすぎだと思う……」
「わたしは!」
急に、成宮さんが叫んだ。
びくっ、と肩が震える。図書室の中が静まり返ってこっちを見ている。
「…………ケンカ?」
ひそひそと声が聞こえて、とりあえず出ようかと荷物を持って成宮さんと図書室の外に出た。
「ごめん」
「いや」
「わたしは、誰にも介入させないって決めたの」
さっきの、話の、続き?
「誰かに縛られるのが、すっごく苦しくて」
縛られる?
誰に?
そっか、成宮さんは僕みたいに、周りに合わせてるのが辛いのか。
「だから、でしゃばることなかったのに苦しそうな顔するから余計なこと言っちゃった。ごめんね」
「苦しそうな、顔」
「してたよ、苦しそうだった。中学の時のわたしみたい」
中学の、時って。なんかあったのかな。
成宮さんでも、そんな風に苦しく思ってたことがあるのか?