歌う少女、笑う少年。
「……そーか」
「わたし、そういうひと、きらい」
「へ」
「周りに合わせて苦しそうな顔して、周りの空気を悪くする人」
「空気、悪くなってた?」

空気が悪くなってたのはむしろ成宮さんのせいじゃないのか?

「んーん、別に」
「じゃ、なんで」
「空気が悪くなってなかったのは、鈴木くんが人気だからね。みんな、鈴木くんに合わせてるんだよ、めんどくさくない?」
「そう、かなあ」
「うん。多分みんな鈴木くんが合わせてるの気づいて白けてるよ」
「そんな、こと、言われてもわかんないけど」
「でも絶対そう」

しゅぱっと切り捨てて、じゃね、と成宮さんは踵を返した。

「つーつつつるっつー」

「つるっつーつつー」

今、成宮さんが歌ってる曲が、懐かしいアニソンだと、ふと気がついた。
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